本記事は「マレーシア生活×クルマ」シリーズの第1回です。
さて、マレーシアの田舎町に引っ越してきた当初は、いくら田舎町でも、grab(配車アプリ・サービス)もあるし、「車が無くても生活には困らない」と思っていた私でした。
けれども、実際に暮らしてみると、Grabが使えない時間帯や地域があり、子どもを連れての移動も制限されるという現実に直面することになります。
特に不安だったのは、もし子どもが体調を崩したりケガをしたりした時、すぐに病院へ連れて行ける手段がないこと。
「車がなければ生活できない!」
という不安から、急きょマレーシアで車を購入することになりました。
この記事では、私がどのようにして車を選び、購入するまでにどんな選択肢があり、どのように決断したのかを備忘録として綴っています。
なぜ車が必要?マレーシア田舎暮らしの交通事情
「車がなければ生活できない」と強く感じた背景には、私たちが暮らすマレーシアの田舎町ならではの交通事情がありました。
Grabが使えない時間帯がある
私たちが引っ越してきたタイミングは、ちょうどコロナ禍:国家回復計画(National Recovery Plan)の真っ只中。当時はGrabの利用は1名のみ・州をまたぐ移動には警察の許可が必要という制限がありました。
スーパーでの買い出しや水の購入も、子連れでは不可能。常に私ひとりで動くしかなく、「車があれば…」と何度も思いました。
また、Grabは昼間でもなかなかつかまらないこともあり、夜間、早朝はGrabサービスが無い地域でした。「Grabがあるから大丈夫」と思っていた私にとって、これは想定外の事態でした。
救急対応・子連れ移動のリスク
さらに不安だったのが、子供たちが事故や大きなケガをした場合、夜間に急に体調を崩した場合に、英語の通じる私立病院へすぐに連れて行けないということ。999で救急車を呼んでも公立病院に搬送されるのが一般的で、マレー語が話せない私には大きな不安要素でした。
参考までに…私立病院を希望する場合は、各病院の代表番号を事前に控えておき直接電話をかけ救急車の要請をします。私たちの当時の居住地は、救急車の到着までに40分近くの距離×その往復でした。
自家用車があれば、24時間いつでも自分の判断で移動ができる。母としての安心感が大きく変わると感じました。
野良犬・治安面のリスク
もうひとつ、田舎で暮らす中で心配だったのが、治安と野良犬の存在です。人間同様、犬(や牛など)が道路を横断したりしています。ワンちゃんファミリーが自然に戯れている姿を見ると「かわいいなぁ」と思えるのですが、やっぱり狂犬病のリスクには怯えました。
近所の方からは、「Eバイクや車なら逃げ切れるけれど、自転車や徒歩だと襲われる可能性がある」と教えてもらい、マレーシア初心者だった私は衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。
車での移動ならこのような不安も軽減されると考えて、日常的な安全確保の意味でも「やはり車が必要だ」と思ったのです。
中古車?新車?それとも新古車? 私が悩んだ3つの選択
マレーシアで車を買うと決めたとき、新車と中古車以外に、新古車という選択肢があることも知りました。
- 中古車
- 新車
- 新古車(ショールームカー・登録済未使用車)
それぞれにメリット・デメリットがあり、私自身もかなり悩みました。
最初に検討したのは中古車
マレーシア到着直後、Twitterでつながっていた同じ学校のお母さんから、車を譲ってもらえる話をいただきました。
- メーカー:PERODUA社(ダイハツとマレーシア資本との合弁会社)
- 車種:MYVI(マイヴィ)
- 年式:2005年式
- 走行距離:152,557km
- 査定額:RM7,500(約20万円)
※RM1=27で計算の場合。以降同じレートで計算。
日本人感覚だと「15万km超」は買い替えレベルですが、マレーシアでは「修理して長く乗る」文化があります。
お手頃な価格は魅力的でしたし、日本人の方がきちんとメンテナンスをしつつ、大事に乗っていたことが分かっている安心感は強かったのですが、走行距離と、「時々エンジンがかからないことがある」の一言に、迷いが出ました。
もし子どもに何かあったときに車が動かなかったら…と考えると不安が残り、こちらのお話しは見送ることにしました。
ちなみにこの時教えていただいた、中古車購入時の注意点を書き残します。
中古車購入時のチェックポイント
メーター巻き戻しや水害車、事故歴はないか定期的に整備されてきたか(整備記録があるか)
できれば第三者の整備士に同伴してもらう
バッテリー、エアコン、ブレーキ、タイヤなど消耗部品の状態確認
購入後の整備計画・名義変更のスムーズさを事前に確認
個人売買なら「信頼できる紹介経由」がベスト
日本では信頼できる個人売買も多いですが、マレーシアではトラブルの報告も多いため、
「知り合いづて」や「学校関係者の紹介」など、信頼できるルートからの購入が安心だと思いました。
新車の購入費用と注意点(納車待ち・縁起・年式の損)
「いっそ新車にしたほうが安心かも…」と、次に探し始めたのは新車。PERODUA社の公式サイトで価格を調査しました。
車種 | 本体価格(目安) |
---|---|
MYVI | RM41,292〜(約111万円) |
AXIA | RM23,367〜(約63万円) |
BEZZA | RM33,456〜(約90万円) |
リーズナブルな価格帯ではあるものの、実際にMYVI購入した人からは
「諸費用を入れるとRM50,000くらいになったよ」
と、日本同様、本体価格に数千~1万リンギットくらいはプラスになることを想定しておいた方が良いと教えてもらいました。
さらに、人気車種は納車までに数か月~半年待ちという点も気になりました。
実はみんな「年末は避ける」? その理由は…?
この時期(私が購入を検討していたのは10〜12月)、現地の方から「年末に新車を買うと、すぐに「前年登録」になって下取り価格が下がっちゃうの。だからみんな旧正月の前か、年明けに買うのよ」という話を聞きました。
調べてみると、この理由は文化的な縁起担ぎだけでなく、資産価値や税制面でも合理的だということが分かりました。
年末に新車を買うと…
登録年が1年古くなり、資産価値が下がる
1月以降の登録なら保険・ロードタックスを最大限活用できる
年末は人気車種の在庫が少なく、選択肢が限られる
このため、マレーシアでは中華系・マレー系を問わず「年明けに新車を買う方が得」という考え方が浸透しているようです。
ちなみにこの時もまた教えていただいた、新車購入時の注意点を書き残します。
新車購入時に気をつけたいこと
表示価格には「保険・税金・登録料」が含まれていないことが多い
購入タイミングによっては年式が1年落ちになるリスクあり
納車待ちが2〜3か月、またはそれ以上になることも
「今すぐ車が必要」という場合には向いていない選択肢
時間と予算にゆとりがある方には新車はおすすめできますが、私たちのように急ぎで必要な場合は難しい選択肢でした。
最終的に選んだのは「新古車」|どうやって手に入れたのか?
そんなときに舞い込んできたのが、「新古車(ショールームカー)」の話。
学校スタッフの紹介で、ディーラーのお知り合いから登録済み・試乗車落ちのBEZZAを紹介してもらいました。
年式:2020年
走行距離:4,000km
状態:非常に良好
価格:
RM32,000→ RM33,000から値引き納車:1~2週間程(実際は10日で納車)
すべてが私たちの希望にぴったりでした。
新古車を紹介してくれた方が話してくれた「新古車のメリット」と「入手ルート」についてこちらも備忘録として残しておきます。
新古車のメリット
状態が新車に近いのに価格は10~20%安い
納車が早い(即納可)
登録済なので名義変更だけでOK
新古車の入手ルート
ディーラーに直接問い合わせ(在庫は少ない)
学校スタッフや現地のネットワークからの紹介
都市部から1時間近くかけて車を運んできてもらうため、「買う意思はあるのか」と何度も確認されました。見てみないと分からない…とは思いつつも、学校スタッフの知り合いで、信用できる方だったことと、実際の状態も思いのほかよかったので、その場で現金全額払いで即決しました。
10/6(水)に新古車の話があり、10/15(金)には納車だったので、なかなかのスピード購入でした。けれども、結果的に「予算」「状態」「納車の早さ」をすべて満たす理想の選択だったと感じています。
生活を守る「手段」としての車
マレーシア、特に地方エリアで子育てをしながら生活していく中で、車は単なる移動手段や便利グッズではなく、「安心して暮らすための必需品」だと痛感しました。
Grabに頼るつもりで始まった私たちの生活も、スーパーへの買い出し、子どもの送迎、緊急時の備えまで、車を持つということは、私たち母子にとって最も現実的で安心できる選択肢となりました。
マレーシアで、特に都市部でない場所で子育てをするのであれば、「車を持つことは必須」だと実感しています。
これからマレーシアでの生活を始める方や、同じように母子で海外生活を考えている方にとって、
この体験談が少しでもお役に立てたら嬉しいです。
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